相続対策
一般に「相続対策」というと、「相続税の対策」のことを思い浮かべる方が多いようです。
たしかに、巷では、平成27年からの相続税増税を謳い文句にした税理士や不動産業者などが、相続税対策のセミナーを大々的に開催していたりしますので、そう思われるのも無理はありません。
今回の相続税制改正によって、相続税申告・相続税納税をすべきケースが倍増すると言われていますが、それでも、これまで相続案件のうち4~5パーセントが対象であったものが、10パーセント程度に増加するに過ぎません。
つまり、全体の数からすると、まだまだ一部の人にしか関係ないという見方もできるのです。
そして、何も対策をしなければ相続税申告が必要なケースでも、財産の総額がそれほど多くないなら、ちょっとした対策で相続税の支払いを免れることもできてしまうのです。
結局のところ、多くの人にとっては、相続税を無闇に恐れることはないと言っても良いでしょう。
それよりもむしろ、遺産の多寡には関わらず、税金以外の相続トラブルに関する「相続対策」が必要なことについて、少しでも多くの方に知っておいて頂きたいのです。
各家庭によって、事情はそれぞれ違います。
税金のことだけを気に掛けておけばいいというほど単純なものではありません。
潜在的な相続トラブルの可能性について認識しているか、もしくは既に将来のトラブルが顕在化しているならその対処法を練っているのか。
「ウチの場合、どんなトラブルの可能性があるのかわからない。」といったように、何が問題なのかが、認識できていない、顕在化していないのであれば、一度、専門家にご相談されることをお勧めします。健康だと思っているときでも、健康診断を受けるように。
そして、少しでも不安や心当たりがあるのなら、早期発見・早期対策に越したことはありません。
相続にまつわるトラブルの多くは、結局のところ、「知っているかどうか」の話が多いのですが(法律の条文にどう書いてあるかということだけではありません。念のため。)、事前に適切な対策を講じることによって、回避できたであろう残念な失敗もたくさんあるのです。
相続トラブルを回避するためには、
① 現状を把握する
↓
② リスクを想定・発見する
↓
③ 対策を行う
この3点が重要で、ある程度の経験、場数を踏んだ人のアドバイスが必要です。
対策をした結果、何もなければ、取り越し苦労だったと、笑って済ませればよろしいではないですか。最悪の事態を招きかねないリスクを放置するよりは…ずっとマシです。
繰り返しますが、「相続」対策 については、財産の多寡に関わらず、慎重にチェックして頂きたいのです。
というのも、日頃、相続のご相談を頂く中で、「事前に対策をしていれば、こんなことにはならなかったのに。」と思われることが非常に多いからです。
そんな場合には、皆さん、口を揃えてこう言われます。
「わかってたら、ほっとかへんかったのに!!…。」
典型的な事例をはじめ「相続の落とし穴」としてまとめて参りますので、是非、ご参考下さい。
ご自身のこととして、もしくは、身近な方やお知り合いの方のこととして、当てはまるケース、心当たりのあるケースがあれば、要注意です。